ー西ヨーロッパの海岸のとある波止場。くたびれた服に身を包んだ一人の漁師がボートの中でまどろんでいる。とそこにもう一人、今度は洒落た服装の観光客がやってきた。澄んだ青空、穏やかに波打つ海、黒いボートと赤い釣り竿。写真を撮るにはうってつけだ、と彼はカメラを構える。
パシャッ
パシャッ
何事も3つ揃っているものだ、と最後にもう一度、パシャッ。
ボートの中でほとんど眠りに落ちかけていた彼は、その音でふと目が覚めた。半ばぼうっとしながら煙草箱がないか探る。しかし彼が見つける前に、観光客の男がまだ火を付けていない煙草を手にしているのが見えた。
パシャッ
ああ、その4度目のシャッターが彼の許容範囲を超えてしまった。
。。。。。
ー漁師のそれに少しも気が付かなかった観光客の男にとって、彼に話しかけたのは友好的な気持ちから以外なかった。
「今日は良い漁が出来そうですね」
しかし漁師は首を横に振った。
「でも、いい天気になりそうな一日だと言われてますよ」
漁師はまた首を横に振った。
「。。それじゃあ遠くへ漁にはいらっしゃらないんですか?」
そうして漁師はまた首を横に振り、哀れな観光客の男の額には汗が滲んできた。
どくん、どくん
彼はだんだん何故漁師が口を発しないのか、その理由に気が付いてしまった気がした。
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この物語の続きはこちらの本↑の3章、85ページからどうぞ!
自分なりに翻訳してみたものの、やっぱりC1レベルの単語は回りくどい表現とかも多くて難易度が上がる。
ドイツ語で意味を知っていても日本語でピッタリそれに当てはまるコレ!みたいなのをよく知っていないと翻訳できないので、今回主に日本語を辞書で調べては調べなおし、の繰り返しだった。
言葉は奥深い。。
勉強はシンプルなノートでどうぞ。
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